マラセチア皮膚炎
2019年12月31日
犬においてマラセチアは皮膚の常在菌であり、皮脂を好み、栄養源とし、生活しています。また、カビの一種である酵母様真菌であり、それらが増殖をすることで症状を示します。
好発犬種はシーズー、コッカー・スパニエル、ウエスト・ハイランド・ホワイトテリア、パグなどです。
症状
主に皮膚のひだや耳、脇の下や内股など、皮膚の擦れる部分に起こりやすいとされています。症状は痒み、赤み、色素沈着、苔癬化などで、重症度によっては「脂漏臭」と言われる独特な臭いを発します。犬では一般的に見られ、猫では稀な病気です。
原因
痒みの原因はマラセチアの皮膚への刺激によるものとマラセチアに対するアレルギー反応があると言われています。
皮膚症状のコントロールが困難な場合には、基礎疾患に食物アレルギーなどのアレルギー疾患や甲状腺機能低下症などの内分泌疾患などが隠れており、それらによる皮膚コンディションの悪化を生じ、マラセチアが増殖しているということもあります。そのため、コントロールが困難な場合には全身的な検査をお勧めすることもあります。
検査と診断
症状のある部分より皮膚検査、染色を行い、顕微鏡でマラセチアを確認します。
治療
一番大事なのはシャンプーです。マラセチアに対して効力のあるシャンプーで週2−3回、適切なシャンプー法(こちらをクリック)を用いて洗浄します。
また、症状により抗真菌剤やステロイド剤、免疫抑制剤などの内服薬の投与をします。症状の改善には時間要し、飼い主様のご協力も必要となります。さらに、基礎疾患が存在する場合にはそれらの治療も必要となります。マラセチア皮膚炎は、日々のケアにより症状の改善を見込める皮膚トラブルです。
この記事を書いた人
石井 (ALL動物病院行徳院長 皮膚科学会認定医)
皮膚疾患に悩むご家族をはじめ、ご来院のみなさまにご相談していただきやすいような雰囲気づくりに努め二人三脚での治療をしています。2児の父で特に好きな犬種はプードル。日頃の運動不足解消のため暑さ寒さに負けず自転車通勤している。