ペット防災のお話 Part1 避難場所・情報編
災害はいつやってくるか分かりません。ペットとの避難(ペット同行避難)は、まだまだ難しいのが現状です。今年3月に、環境省よりペット同行避難の受入れ円滑化等を目的として人とペットの災害対策ガイドライン 災害への備えチェックリストが公表され、少しずつ認知度が上がってきていると感じています。
今回のPart1では、『避難場所・情報・グッズ編』をご紹介します。
☆災害が起きたら…
まずはご家族の身の安全を確保しましょう。ご家族が無事でなければ、ペットを救うことはできません。地震の時は上から物が落ちることによるケガのリスクがあるため、普段からペットのケージなどのそばに落ちやすい物や大きい物を置かないことをおすすめします。
災害時は大きな音や揺れによりペットもかなりの興奮状態となり、強いストレスを感じます。抱きかかえようとして手を噛まれてしまうこともあるため、近くにタオルがあればタオルを使ってあげると良いでしょう。
☆避難場所の確認と車内避難
お住まいの地域の指定避難場所を確認しておきましょう。場所だけでなく、敷地の広さや周辺の環境もチェックしておくと良いでしょう。避難場所にはペットが苦手な方や動物アレルギーをお持ちの方もいらっしゃる可能性があります。同行避難時はペットの名前、年齢、性格、予防歴、既往歴などの多くの情報を伝えておくべきであり、情報が正しいことの証明も必要となります。ペットの予防接種証明書などはファイルにまとめて保管しておき、いざという時にすぐ持ち出せるようにしておきましょう。
災害時はあらゆる情報確認が必要となるため、受入れ態勢が整うまで避難場所に入れない可能性もあります。その際は一時的に車内に避難しなければならないこともあるため、お車をお持ちの方は常日頃なるべくガソリンを満タンにしておくことをおすすめします。動物は汗をかくことが難しく、熱を上手に発散させることができません。幼齢や高齢の動物は体の代謝機能も安定していないので、夏場でも冬場でも体温調節が難しいことがあります。
ご家族の体調管理も含めて避難場所を検討しましょう。
☆マイクロチップと迷子札
もしもペットとはぐれてしまったら…不安でいっぱいだと思います。
また、どうしてもペットと一緒に避難できない…という状況になってしまうこともあります。ペットの代わりに名前やご家族の情報を伝えてくれるのが、マイクロチップや迷子札です。
マイクロチップ
マイクロチップは直径2mm、長さ8~12mmの円筒形の電子標識器具です。内部はIC、コンデンサ、電極コイルからできており、外側は生体適合素材で覆われています。
チップには世界唯一の15桁の数字が記録されており、専用の機材(マイクロチップリーダー)で読み取ることで分かります。
マイクロチップの挿入は動物病院で行うことができます。
うちの子はマイクロチップが入っているのか分からない…という場合でもご安心ください。
動物病院でマイクロチップリーダーをかざし、もし反応が無い場合はレントゲン撮影で確認をすることができます。
マイクロチップは哺乳類以外の動物にも入れることができますが、ほとんどの場合、犬猫に入れることが多いです。フェレットやうさぎなどのエキゾチックアニマルにも入れることがありますが、ストレス耐性など犬猫と異なる部分があるためマイクロチップの代わりに次にご紹介させていただく迷子札を使用すると良いでしょう。
迷子札
マイクロチップに加えて、首輪に迷子札を付けておくことも大切です。
マイクロチップはマイクロチップリーダーでの読み取りが必要となるため、情報が分かるまでに少し時間がかかります。ペットの名前やご家族の連絡先だけでもすぐに分かるように、迷子札を用意しておきましょう。写真右のようなネームタグでの代用も可能です。
犬猫であれば首輪やハーネス、エキゾチックアニマルであればケージやハーネスなどに付けておくと良いでしょう。
☆役立つ防災グッズ
いざという時のために防災グッズを用意しておきたい!今回は用意しておきたい防災グッズをご紹介します!
①におわない袋
100円ショップでも見かけるにおわない袋はとても便利です。ペット用ではなく乳児用として販売されているものも、においをしっかりガードしてくれるので使いやすいですね。
②シリコンボウル
こちらも100円ショップでよく見かける商品ですね。とても軽く、かさばらずに収納できるためおすすめです。
フードやお水を入れるお皿として使いやすく速乾性もあります。また、耐久性もあり音も鳴らないので外での使用の際に重宝します。
③リード
普段使っているリードではなく、予備用のリードを予めカバンに入れておくとよいでしょう。災害時は慌ててリードを忘れてしまったり、避難中にリードが壊れてしまう可能性があります。伸縮リードではないものを選択しましょう。
予備用の首輪も一緒に用意しておくこともさらにおすすめです。
④フード
災害時は動物にもとても大きなストレスがかかります。ストレスにより体調を崩すことはもちろん、その状況下で普段と異なるフードを食べると下痢や吐き戻しなどの症状が出る可能性があります。なるべく普段食べているものと同じフードにし、約1kgサイズをバッグに入れておきましょう。
年1回は防災バッグの中身をチェックし、賞味期限が近づいてきたら普段使いにして新しい物と交換するとよいでしょう。
⑤ウェットシート
身体が汚れてしまったときだけでなく、お皿なども拭くことができます。
災害時はライフラインが止まって電気や水が使えないことがほとんどなので、ウェットシートはとても役に立ちます。人用と併せて動物用のものを用意しておくようにしましょう。
※写真のフードは3kgサイズです。
今回は、ペット防災Part1として『避難場所・情報・グッズ編』をお話しました。
マイクロチップについて詳しく知りたい、タオルを使った抱っこの仕方などご不安なことがございましたら当院スタッフへご相談ください。
次回は、ペット防災Part2 『行動・トレーニング編』です。
災害時に必要な心構えや行動、もしもの時のために覚えていると役立つしつけ・トレーニングと災害時の実例をお話します。