犬と猫と人にも感染するSFTSという恐ろしい病気が千葉県でも確認されました

重症熱性血小板減少症候群(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome)という病気をご存じでしょうか。

SFTSと呼ばれるこの病気は2011年に中国の研究者によって初めて報告され、2013年には日本でも山口県で初めて報告されました。これまで日本でのSFTS流行は西日本に限局しており、関東地方での感染報告はありませんでした。しかし今年6月、千葉県で関東地方初のSFTS感染患者が確認・報告されました。

 

参考文献

関東地方で初めて感染が確認された重症熱性血小板減少症候群の1例 (niid.go.jp)

NIID 国立感染症研究所 病原微生物検出情報(IASR)より

SFTS発症動物について(ネコ, イヌを中心に) (niid.go.jp)

NIID 国立感染症研究所HPより

 

SFTSってどんな病気?

SFTSはマダニ媒介性感染症です。ヒトだけでなく、ウシ、ヤギ、ブタ、イノシシ、イヌ、ネコ等の多くの動物に感染する病気であり、ペットの犬猫から人への感染も報告されています。感染すると色々な症状が出ますが、残念ながら人用の有効な薬剤やワクチンはありません。

また、ネコの致死率が約60%ととても高く、発症後平均3日で動物病院に来院し、その7割が平均2日で亡くなっています。イヌも致死率は約30%と言われています。SFTSに感染してしまった場合、ペットに対する特効薬はありません。感染経路はマダニによる咬傷がほとんどですが、感染動物の体液等から感染しているケースもあります。

表のように、ヒトのSFTS感染症状もイヌ・ネコと同様、発熱や食欲低下、消化器症状などが挙げられます。さらに、意識障害や失語などの神経症状や痣、歯肉出血、下血などの出血症状を併発する例もあり、致死率は約30%と言われています。

 

予防

SETSから人もペットも身を守るために今できることの一つが、ペットへの予防薬の使用です。

予防薬は動物用医薬品であるものを選択すること、そして、飼育環境に関わらず通年予防をすることを強くおすすめします。

屋外だけでなく屋内にもほぼ100%マダニやノミはいます。完全室内飼育でもマダニやノミが媒介する病気にかかるリスクはあるのです。

予防薬はおやつタイプや液体を塗布するタイプ等、多くの種類があります。

アレルギー症状が懸念される場合は、処方の前に予防薬の原材料にリスク材料があるか確認・ご説明をしております。ご自宅での投薬や塗布が難しい場合は、院内で行うことも可能です。また、予防薬はほとんどのものが月1回投与なので、投与する日を毎月〇日と決めておくと良いでしょう。

 

SFTSは誰にでも感染リスクがある恐ろしい病気です。

人もペットも毎日を健康に楽しく過ごすためにも、今できることをしっかり行い感染リスクを下げるようにしましょう。

この記事を書いた人

藤咲(愛玩動物看護師)
当院の看護主任として日々奮闘中。責任感が強く真面目な性格と自負しており、ご家族からも頼られることが多い。小学校などで子供たちと犬との触れ合いの場を設ける動物介在教育にも力を入れており、休日には愛犬とともに参加している。ご家族やペットのお名前を覚えるのが得意で、スタッフからも「人間カルテ」と言われる記憶力が自慢。