あなたのわんちゃん猫ちゃんの血液型、知ってますか?
皆さんは自分自身の血液型を知ってますか?血液型占いに利用するときや献血をする際に利用する「ABO式」と「RH式」をご存じかと思います。同じように実は犬や猫にも血液型があるんです!
血液型を調べる目的は基本的に緊急時に輸血を受けることがスムーズにできるようために検査を行います。
では犬や猫の血液型はどのような時に必要となるのでしょうか?
健康であれば気にすることのない血液型ですが、万が一何らかの病気やケガで緊急に輸血が必要となった時に必要となります。血液型をあらかじめ調べておくとスムーズに輸血が行えます。
血液型の意味って何!?
血液型は赤血球の表面にある「抗原」=「表面のタンパク質の違い」によって決まります。
外傷や外科手術による出血、病気による貧血や止血機能の異常などにより輸血治療が必要となることがあります。輸血が必要となった時に慌てることがないように健康診断の時などに血液型を調べておくことをお勧めします。
<犬の血液型>
犬の血液型は8種類から13種類と言われています。まだ研究段階であるため正確には解明されておらず、現在の国際的な基準としては8種類と定められています。
犬の血液型にはDEA式(Dog Erythrocyte Antigen:「犬赤血球抗原」の頭文字)が使われています。
DEA1.1、DEA1.2、DEA3、DEA4……などと分類され、一頭の犬で複数のDEAを持っています。ここで重要となるのが「DEA1.1」を持っているかどうかでありDEA1.1(+)やDEA1.1(-)と表記されます。後述しますが「DEA1.1」は輸血時の輸血反応に関連しており、血液型が違う血液を輸血することで重篤な症状を引き起こす場合があります。
犬種によって割合は変わりますが、およそ70%の犬がDEA1.1+と言われています。
<猫の血液型>
猫の血液型ではA・B・ABの3種類です。人と同じ表記ですが人と猫での献血・輸血はできません。
日本においては約95%の猫がA型と言われ、B型は5%、AB型は1%未満です。
犬と同様猫の血液型においてもまだ研究段階であるためまだ正確には解明されていません。
血液型検査はどう行うの?
血液型はどのように検査するのでしょうか?
①動物病院で血液型検査キットで調べる
血液型判定キットを使用し、数滴分の血液で検査できます。結果が出るまでは15分から20分程度です。
②動物病院で採血し、検査センターで調べてもらう
血液型判定キットがない場合は外部の検査センター依頼します。
院内で行う場合と同じように数滴分の血液で検査できますが、結果が出るまでは数日の時間を要します。
いずれも病気になったときに調べると正確な検査結果が出ない場合があります。
冒頭でもお話ししたように、いざというときに慌てることの無いようにあらかじめ健康診断などで採血をする際に血液型検査を実施することが望ましいでしょう。
うちの子は何型?
血液型が数種類あることを述べましたが、実際にどういった割合で分布しているのでしょうか?
主な犬種での割合を見てみましょう。
次に主な猫種での割合です。(AB型についてはデータが少なく不明な点もあるためここでは記載しません)
皆さんが飼育している品種は載っていましたか?
今回載せたのはほんの一例です。興味がある方は是非これを機に調べてみてくださいね。
血液型による輸血反応とは?
ところでいざ輸血をするとなった場合、副作用はないのでしょうか?
テレビドラマなどで輸血をするシーンではあまり副作用については描かれていないので想像はしにくいかもしれませんね。
しかし実際には輸血はいわば「臓器移植」です。検査を行い慎重に行わないと命に係わる副作用(輸血反応)が出ることがあります。
血液には冒頭でお話ししたように赤血球の表面に「抗原」があります。また赤血球の周りの血漿には「抗体」があり、これは自分の体に存在しない特定の抗原に反応するために作られます。つまり自分の血液型と違う抗原が体内に入った場合に対抗する力です。
輸血の際に自分が持っていない抗原が体に入ってしまった場合は抗体が生産され、重篤な輸血反応が起きます。
例えばDEA1.1(-)の犬に(+)の血液を輸血した場合、抗体によって(+)の血液を攻撃してしまいます。
主な症状
「急性溶血反応」と言って体内で次々と血液が壊されることで血尿や黄疸、急性腎障害、貧血や呼吸困難など命にかかわるものがあります。
また発熱・嘔吐や下痢、血圧の低下、体のかゆみや蕁麻疹などのアレルギー反応を発症することもあります。
まとめ
血液型を知ることはいざという時の備えになります。安全に輸血を行うためにも事前に血液型を調べておくとよいでしょう。
当院では緊急に輸血を必要とする子のために献血を行っており、血液を提供していただく際に血液型はとても重要となります。血液型や献血にご興味がありましたら当院の獣医師までお声かけください。