病気予防のためにも重要!猫にとって快適なトイレ環境を整えましょう
猫のトイレと一言で言っても、通常の箱タイプからシステムトイレ、フードがついているものなど様々ありますし、トイレ砂の種類、形状も機能性や猫の好みに合わせて多くのバリエーションがあります。どれを使ったらいいのか、悩んでしまいますよね。
今回は人間目線ではなく、猫の気持ちになってトイレについて考えていきたいと思います。
さて、猫にとって快適なトイレ環境とはどのようなものなのでしょうか。
まず、私たち人にとって快適なトイレとそうではないトイレをイメージしてみましょう。
素敵なホテルやレストランのトイレは快適だと感じる方が多いのではないでしょうか。
洗練された雰囲気で掃除が行き届いていて清潔、不快な匂いもなく、アメニティなど用意がされていて気持ちのよい空間だと思います。女優ライトのついたおしゃれなパウダールームも併設されていたら、ゆっくりメイク直しをして行きたくなります。
また、慣れ親しんだ自宅のトイレもほっと落ち着けるようなスペースですよね。
それに対して、仮設トイレや公衆トイレはいかがでしょうか。
狭くて暗くて匂いも気になってしまって、なるべく早く外に出たいと感じる方が多いかと思います。
猫も私たちと同じです。快適なトイレであればゆっくりと気持ちよく過ごすことができますし、そうでなければトイレに行くのを嫌がって排泄を我慢してしまうこともあります。
排泄したいときに「ああ、またあの汚くて臭いトイレに行かないといけない…」と思わせてしまうのは、かわいそうですよね。
ストレスを感じたり、トイレへ行くのを我慢してしまうことで、不適切な場所で排泄をしてしまうだけでなく、膀胱炎や尿路結石などの病気の原因にもなります。そのため、トイレ環境をきちんと整えてあげることが必要なのです。
では、今ご自宅にあるトイレに猫は満足してくれているのでしょうか。
排泄前~排泄後のご様子を観察してみましょう。
<トイレに満足している場合>
・排泄前にトイレ砂をゆっくり掘っている時間がある
・排泄物にしっかりと砂をかぶせている
<トイレに不満がある場合>
・トイレの縁に足をかけて排泄する
・排泄後手をブンブン振っている
・排泄後逃げるようにトイレから出てくる
私たちも汚いものを触らないといけない時に、指先でつまんだり、なるべく触れないように扱うかと思いますが、猫の上記の仕草はまさにそれと同じなのです。
このような仕草がみられるようでしたら、トイレの見直しが必要です。
さあ、快適なトイレ環境づくりをはじめましょう。
まずは、トイレの形です。身体がはみ出てしまうような小さいものは避けましょう。理想は猫の頭からお尻までの長さ×1.5倍がよいとされています。また、トイレ砂を心置きなく掘ってもらえるように、十分な深さのあるものを選びましょう。深さがあるとトイレ周辺へのトイレ砂の飛び散りも抑えられて、ご家族のお掃除のわずらわしさも軽減されるかと思います。
上から入るタイプのトイレはトイレ砂の飛び散りがほとんどありませんが、子猫や老猫には向きません。無理なく簡単にトイレへ出入りできるように、段差の高さについても工夫をしてあげましょう。
フード付きのトイレであれば、さらにトイレ砂の飛び散りや室内への匂いを抑えることができますし、トイレを静かな環境に置けない場合や繊細な性格の猫には、隠れて排泄ができるため良いこともあります。
しかし、トイレ内に匂いがこもってしまったり、窮屈に感じてしまう猫もいるため、行動学的にはフードは無いほうがよいとされています。
システムトイレは2段構造で、上段のスノコで便をキャッチし、尿は下段のトレーへ流れてシートで吸収される仕組みになっています。
比較的匂いが抑えられることや、お手入れの簡単さで選ばれているタイプです。
その他にも、最新のトイレでは体重測定ができたり、尿の量や回数を記録してくれるとても便利なものもあります。太り気味の猫の体重管理がしやすく、膀胱炎などからくる頻尿もすぐ分かります。
また、猫に多い慢性腎臓病では、体重の減少や尿量が増加するという症状があります。これらにいち早く気付くことができるため、病気の早期発見・治療に繋げることもできます。
トイレ砂の種類も猫の好みの分かれるところです。また、毎日の消耗品であるため、飼い主様の使い勝手や費用の面も選ぶ基準となってくるかと思います。
一般的にペットショップなどで販売されているトイレ砂の種類は、下記の5種類が多いかと思います。それぞれ製品によって特徴がありますが、猫は鉱物系で砂の粒が小さく、無香料で固まるタイプを好むようです。ご自宅の猫ちゃんにとってのお気に入りを見つけてあげましょう。
・鉱物系・・・昔からあるオーソドックスなタイプ。自然の砂に近いため、堀る感触が好まれます。しっかりと固まります。
・紙製・・・軽くて扱いやすいです。人用トイレに少量ずつ流して処分することも出来ます。血尿など色の変化に気づきやすいです。香り付きのものもありますが、無香料がよいでしょう。
・木製・・・軽くて扱いやすいです。固まるタイプ、システムトイレ用など用途が選べます。
・おから・・・食べてしまっても安心です。人用トイレに少量ずつ流して処分することもできます。
・シリカゲル・・・尿をすばやく吸収、匂いが抑えられます。
トイレが古くなって買い替える場合、ある日突然がらっと変わってしまうと猫のストレスになってしまうため、もともと使用していたものも同時に置いておいて、どちらも使用できる環境を作ってあげましょう。
トイレ砂の種類を別のものに変える場合も同様です。徐々に新しい砂を混ぜて比率を変えていくようにしましょう。
トイレの数は猫の頭数プラス1台を用意しましょう。
1頭であれば、2台。3頭であれば4台のトイレを設置することで、いつでも清潔で他の猫に邪魔されずに排泄することができます。スペースの関係など、どうしても必要な台数のトイレを用意できない場合は、こまめな掃除と、他の猫からの視線が気にならない場所に設置するなどの工夫をしてあげましょう。
設置場所は猫の落ち着ける場所を選びましょう。
テレビやスピーカーの近くで大きな音がしたり、ご家族がよく出入りするような場所は避けることがポイントです。
また、模様替えなどで設置場所を変更したい場合は、トイレ砂を変更する時と同じように徐々に慣らすことをおすすめします。今までの設置場所から新しい設置場所まで、日数をかけて数十センチずつ移動しましょう。
最後に最も大切なお掃除についてです。
冒頭にご紹介したように、清潔で匂わないトイレが気持ちいいですよね。
猫に快適に使用してもらう為には、排泄ごとの掃除が望ましいです。しかし、外出などで難しいこともあると思いますので、最低でも1日2回は排泄物を取り除き、新しいトイレ砂を補充してあげましょう。
1週間に1回はトイレを丸洗いし、トイレ砂も全部交換するとよいでしょう。
トイレについてご紹介してまいりましたが、いかがでしたでしょうか。
快適なトイレは心と身体の健康に繋がります。
猫がときめくようなトイレ環境を作ってあげましょう。