犬や猫のごはんはドライフードとウェットフード、どちらを食べたらいいの?
ペットショップやホームセンターには多くのペット用のフードを売っています。
病院に来られるご家族からも「うちの子はドライフードしか食べないんだけどウェットフードもあげたほうがいいの?」とか「ドライフードとウェットフードどちらがいいの?」といったお悩みのご相談をよくいただきます。
今回はフードの違いとポイントをお話しします。
フードの安全性と種類
日本国内で発売されているペット用のフードは「愛玩動物用飼料の安全性の確保に関する法律」通称「ペットフード安全法」によって安全基準が定められています。
法律の対象となるのは以下の犬猫のペットフードです。
国内で売られているフードに関しては安全性が確保されていますので、あとはどのタイプのフードを選ぶかというところですね。
フードには「総合栄養食」と「間食」、「療法食」「その他の目的食(サプリメントやふりかけなど)」の4種類に分けられます。
中でも総合栄養食や療法食はペットの体を作るために毎日食べる「ごはん」となります。この「ごはん」にはドライフードとウェットフードがあります。
ドライフードとウェットフードの違い
ドライフードとウェットフードの違いのなかで特に大きな違いは水分の含有量です。
水分含有量はドライフードでは10%程度以下、ウェットフードは75%程度となっています。
ドライフードは水分量が少ない分必要な栄養素がバランスよく凝縮されています。
カリカリ感を出すため炭水化物が多く含まれますが穀物などを多く使用している場合があり、アレルギーを持っているペットには使用できないことがあります。また製造過程での加熱や乾燥によりたんぱく質が変性することもあります。
ウェットフードは柔らかく、炭水化物は少なめに作られているものが多いのが特徴です。
ここでドライフードとウェットフードのメリットデメリットを見てみましょう。
①ドライフード
〈メリット〉
・市販されている多くのドライフードが総合栄養食。一日に必要な栄養素がバランスよく摂取できる
・機能性を持たせたものが多く販売されており動物に合わせた選択ができる
・100gあたりのカロリーがウェットフードより大きい
・長期保存ができ、ウェットフードに比べ安価なものが多い
・粒を食べることによる研磨作用により歯垢がたまるのを抑制する効果が期待できる
〈デメリット〉
・水分量が少ないためフード以外での水分摂取が必要。特に腎臓に疾患を抱えている場合は注意が必要
・粒が硬いため口や歯の異常がある場合や消化機能が十分でない幼齢や高齢には向かないことがある
・においが弱く食いつきが悪いことがある
ドライフードを食べない場合の工夫として人肌程度に温めたり、ふりかけやペースト、肉のゆで汁などをかけてにおいをつけることで食いつきがよくなることがあります。またミキサーにかけ粉々にし、お湯でふやかすことで口当たりが滑らかになり食べやすくなる場合があります。
②ウェットフード
〈メリット〉
・水分含有量が多く柔らかい。飲水が少ない場合や腎臓や膀胱に疾患を抱えている場合に健康維持に貢献できる。またドライフードに比べタンパク質が多く炭水化物が少ない
・柔らかく、食べやすいため口や歯の異常がある場合や消化機能が低い場合でも与えやすい
・豊かな香りで食いつきが良いものが多い
〈デメリット〉
・「総合栄養食」と「副食」タイプがあるため購入間違いに注意が必要
・機能性を持たせたものが少ない
・ドライフードに比べ100gあたりのカロリーが少ないため多く与える必要がある
・缶詰またはパウチを開封後は傷みやすい
・ドライフードに比べ高価なものが多い
③ウェットフードとドライフードの併用
人と同じように、ペットによって食感の好みはそれぞれ異なります。普段がドライフードのみ食べていたとしても体調によってはウェットフードが必要となる時もあるでしょう。
そこでお勧めしたいのがドライフードとウェットフードの併用です。
ドライフードにもウェットフードにも様々な味や食感のものが販売されています。毎日異なった種類のものを与える必要はありません。
例えばドライフードは変えずにウェットの味を変えるとか、朝はドライ、夜はウェットなどと組み合わせて使うなどをして複数の食感を体験することで好みの食感や味を発見できるかもしれません。
選ぶ際のポイントは個々の生活に合わせて
上記で記したようにドライフードとウェットフードにはそれぞれメリットデメリットがありますので一概にどちらのフードが良いということは言えません。
ペットの年齢、今までかかったことのある病気、体調、栄養状態、口の状態や消化能力を考慮しその子が好むものを与えるとよいでしょう。
また高価なものばかり与えていては経済的負担になりかねません。ご家族様が日中留守にする中で置き餌をすることもあるかと思います。
経済面や衛生面も考え、無理なくおいしく食べられるものを選んであげましょう。
当院ではロイヤルカナンのフードアドバイザーを取得しているスタッフも在籍しておりますのでお困りの際はどうぞお気軽にご相談ください。