犬種別シリーズ!犬種ごとの性格や特徴などをご紹介します。~シェルティ編~
犬種別シリーズ、シェルティ編です。
もふもふした体としっぽに、すっとした鼻、なんだか名犬ラッシーにでてくる犬に似ているような…
しかし、ラッシーのモデルであるラフコリーとの違いは体格差があるだけではないんです!
愛称でシェルティと呼ばれる、この犬種の正式名称はシェットランド・シープドッグ。
今回はシェルティの魅力や特徴をたっぷりとご紹介します。
シェルティの歴史
シェルティはイギリスのスコットランドにあるシェットランド諸島を原産とする犬種です。
ラフコリーやボーダー・コリーと並んで古い歴史を持つ牧羊犬のひとつに数えられ、これらの祖先がスピッツ系との交配、さらにラフコリーとの交配の末に生まれたと考えられています。
遡ると起源は同じ、でもほかの犬種に比べて小型なのはどうしてでしょうか。
諸説ありますが、シェットランド諸島では寒く荒涼とした厳しい土地であるため、消費エネルギーや食事を最小限にとどめる必要がありました。
この生存条件に適応するため、シェルティをはじめとする動物や植物は小型化していったといわれています。
ジャパンケネルクラブ(JKC)においても第1G:牧羊犬・牧畜犬に登録されていますが、広大な土地を持たないこの地方では、放牧した家畜を誘導するというよりも、敷地内の家畜を守る番犬のような役割をしていたとも考えられています。
性格・特徴・毛色
性格
とても賢くやさしい性格で、家族やそれと同等と認めた人や動物に対してはとても甘えん坊な姿をみせてくれます。
子供のいる家庭では、ガードマンのように寄り添って過ごしてくれる愛情深い一面も。
一方でやや臆病な側面を持ち、初対面やあまり会わない人に対してはなかなか打ち解けることが苦手なところがあります。
もちろん個体差はありますが、家のなかでは愛嬌たっぷり、なんて飼い主からしたらうれしくて堪りませんよね!
また機敏で運動能力に優れ体力のある犬種ですので、ショードッグのほかアジリティやディスクでも活躍しています。
特徴
標準体重は8~10kg程度、体高は35~38㎝程度で、日本では中型犬に分類されています。
実際には5kg程度の小型犬サイズから15kgを超える子まで、個体によって差があります。
また額の下、マズルと目の境に「ストップ」と呼ばれる段差があるのが特徴的です。
子犬の頃は耳先端部が垂れていますが、成長するにつれて立ち耳になります。
成犬で耳先端が垂れている子は子犬の頃から矯正をしている子がほとんどですが、よく片側だけ立ち耳になった子にも出会います。
毛色
JKCに認められている毛色は全部で5種類です。
よく見られるのはセーブル、トライカラー、ブルーマールと呼ばれる毛色ですね。
このほかにブラック&ホワイト(バイブラック)、ブラック&タンが存在しますが、後者は近年ではほとんどみられません。
ブルーマールでは眼にもブルーが発現することがあります。
この毛色同士の交配で生まれる個体は死産、または短命のリスクが非常に高いことがわかっています。
また聴覚障害を伴うことが多く、時には視覚障害も伴って生まれてきます。
こういった先天性の異常にはマール遺伝子が関与しており、特にブルーマール同士での交配は禁止されています。
暮らし方
環境
運動不足はいたずらを助長してしまったり肥満の原因になってしまいます。
体力があり、飼い主と遊ぶことや走ることが大好きなので、お散歩やおもちゃで一緒に遊ぶなど運動する時間を確保してあげましょう。
シェルティはその起源から、車など動くものを追いかける、来客に対して吠えるといった行動をとりやすい性質があります。
興奮のきっかけとなる前にお座りなどで落ち着かせ、指示を出す人間に集中させてあげましょう。
そしてできた事へはしっかり褒めてあげることが大切です!
もともと非常に頭が良いので、何がしてよいことで、何がしてはいけないことかをわかりやすく提示するのがポイントです。
また臆病な側面を持ち合わせていますので、社会化期にたくさんの経験や行動に馴らしていきましょう。
お手入れ
シェルティは寒い地域の犬種らしく、豊富な下毛をもつダブルコートです。
絡みやすい毛質で毛玉もできやすく、本来落ちるはずの抜け毛を巻き込んでしまい、下毛が過剰になり皮膚の健康が損なわれるほか熱中症になりやすい原因となります。
定期的にトリミングを利用し、毎日のブラッシングでお手入れをしましょう!
かかりやすい病気
コリーアイ(コリー眼異常)
コリー種に多く発症する眼の遺伝性疾患です。
眼を構成する網膜、脈絡膜、強膜などに異常をきたす先天性の疾患で、重症度に応じてグレード1~5に分類されており、軽度では無症状~視覚障害、重度では失明といった症状が出ます。
治療法は確立されておらず、幼齢のうちに眼科検査を行うことが推奨されます。
進行性網膜委縮
病名の通り、網膜が徐々に変性して薄くなっていく疾患で、初期では無症状、進行とともに視力障害(特に夜盲症)を示します。
コリーアイ同様遺伝的な要因があるといわれ、治療法は確立されていません。
甲状腺機能低下症
甲状腺からホルモン分泌が減少することで起こる疾患です。
多くは甲状腺そのものに原因がある原発性機能低下で、免疫介在性疾患や萎縮の影響により分泌量が減少します。
甲状腺ホルモンは代謝にかかわるホルモンで、全身に様々な影響を及ぼします。
分泌が低下すると元気がなくなる、抜け毛が増える、体重増加、皮膚が黒ずむといった症状や、皮膚粘液水腫が顔に起こると悲しそうな表情(悲観的顔貌)を呈します。
高コレステロール血症
血液中のコレステロール値が高くなる病気ですが、初期ではほとんど症状はありません。
遺伝子異常により胆肝系の細胞が障害され、胆のう粘液嚢腫を起こしやすいといわれています。
腫瘍
要因は明らかになっていませんが、腫瘍発生の多い犬種と言われています。
被毛が密であるがゆえに、しこりに気付きにくいため、日ごろから体を触ってあげるなど早期発見してあげることが大切です。
ケアや遊びの間に体のチェックも欠かさないようにしてあげましょう!
注意が必要な薬
コリー種は時折MDR1遺伝子の欠損や異常を伴って生まれます。
シェルティでは約30%、最も多いコリーでは60%近くに出現するという報告があります。
MDR1遺伝子は毒性のある化合物や薬剤成分を細胞外へ運ぶ機構に関与しているため、この遺伝子が欠損していると薬が過剰に作用し、重大な副作用を引き起こしかねないのです。
特にフィラリア予防薬にも含まれる成分のモキシデクチン、イベルメクチンは慎重に使用すべきと言われる薬剤に挙げられますが、予防薬で使用される場合はごく低用量であり、副作用はほとんどありません。
疥癬や毛包虫症など、ほかの治療で高用量を用いる際はよく獣医師とお話するようにしましょう。
終わりに
今回はシェルティについてご紹介しました。
傍目にはすぐに気づきにくい病気もありますので、定期的な健康診断や日頃から体を触り変化や異常にいち早く気付くことがとても大切です。
その犬種がもともと持つ特性やかかりやすい疾患など、知っていれば対策が講じやすいですよね。
また、子犬でも成犬でも愛らしいシェルティの魅力が、少しでもお伝えできていれば幸いです。