犬がトリミングをする必要性って何?トリミングに慣れるにはどうしたらいいの?

トリミングというと毛をカットするというイメージだと思いますが、通常トリミングサロンなどでは、カット以外にも爪切り、耳掃除、肛門腺絞り、ブラッシング、シャンプーなどもトリミングに含まれています。

正確には毛をカットすることをトリミング、毛のカットを含めた全身のお手入れをグルーミングと言いますが、日本では一般的に両方あわせてトリミングと呼ぶことが多いようです。そのため、トリミングをする人を「トリマー」という呼ぶことが一般的ですが、海外ではグルーミングをする人という意味で「グルーマー」と呼ばれています。

生活していく上でトリミング(グルーミング)は必要です。

そんなトリミングをストレス少なく、慣れてもらうためにはどうしたらよいでしょうか?

 

トリミングの必要性

ペットは身体が被毛に覆われていて、毛の働きによって体温を保ち、皮膚を守っています。

しかし、被毛が伸びすぎるとブラッシングなどのケアが行き届かなくなり、毛玉の原因になります。毛玉を放置していると皮膚疾患や感染症の原因にもなってしまいます。

トリミングというと人間でいう美容室のようなイメージで、見た目を整えるものだと思われがちですが、トリミングの大きな目的のひとつは、ペットの身体を衛生的に保つことです。余分な皮脂の除去、被毛ケアなどを行うことで皮膚疾患の治療にもなります。

また、被毛によって普段お家ではなかなか見ることが難しい皮膚の状態などを定期的にチェックでき、皮膚疾患の早期発見にも繋がります。

 

トリミングの開始時期

トリミングの開始年齢はトリミングサロンや病院にもよりますが、初年度ワクチンプログラムが終了していること、狂犬病予防接種が済んでいること、ノミダ二の予防をしていることなどが利用条件にあげられることが多く、一般的には生後3ヶ月ごろと言われています。ワクチン接種直後のトリミングは控えていただき、少なくとも1週間はあけてトリミングをするようにしてください。

その子の体調や性格にもよりますが、社会化期を考えると遅くとも生後4ヶ月までには1度トリミングを経験してもらうのが理想です。社会化について詳しくはコチラもあわせてご参照ください。

 

トリミングの頻度

トリミングの理想の頻度はどのくらいでしょうか?

犬の皮膚のターンオーバーは約3週間と言われています。

犬種やどのくらいの長さでカットしているか、皮膚の状態によって変わってきますが、爪切りや肛門腺絞りの頻度も考えて大まかには1カ月に1回が理想的です。

 

トリミングに慣れるには

お家でできる練習としては、全身を触る練習や音に慣れる練習をしていただくと良いでしょう。

足先や尾、耳やマズル(鼻や口先)などは触られることが苦手な子が多い印象です。子犬のうちからどこを触られてもOK!な子に育てられれば、将来的にトリミングだけでなく病院での処置中にストレスを感じにくくなるでしょう。

シャワーやドライヤーの音にびっくりしてしまう子も多いので、お家でおやつをあげながら小さな音からだんだんと慣らしてあげておくとバッチリです!

トリミングの開始時期でも少し触れていますが、社会化期にトリミングを行うことも重要です。

社会化期は新しい経験や環境を受け入れやすい時期です。この時期にトリミングを行うことで、慣れることが早く、ストレスが少なくトリミングが行えるようになります。

 

自宅でシャンプーをするときの注意点

子犬をお迎えして、お家でシャンプーをしよう!という方もいると思いますので、その際の注意点をお伝えします。

まず、人用のシャンプー剤は使わないでください。

犬の皮膚は人より薄くデリケートです。また、人の皮膚のpHと犬の皮膚のpHは異なるため、人用のシャンプーは犬には適していません。お家でシャンプーをする場合はきちんと犬用のシャンプー剤を用意しましょう。

シャンプーをした後に濡れた状態のままにしないことも重要です。

キューティクルは熱や水分によって開くという性質があります。その為、シャンプー後に被毛を乾かさないと開いたままのキューティクルが傷つき、毛質が悪くなってしまいます。

また、シャンプー後の濡れた被毛や皮膚は湿度が非常に高い状態です。雑菌は高温多湿な環境を好みますので、シャンプー後に濡れたまま放置してしまうと雑菌の絶好の繁殖場所となってしまいます。これは皮膚の弱い子にとってはもちろん、健康な皮膚の子にとっても良くありません。

中にはどうしてもシャンプーが苦手で嫌がってしまう子もいます。その場合は無理をしないであげてください。トラウマになってしまうと、その後のトリミングが難しくなってしまうこともあります。お家で難しい時は無理をせずプロに任せましょう。

 

成犬はどうするの?

成犬となってからは順応するのにどうしても時間はかかりますが、できないわけではありません。しっかりと時間をかけて練習すれば徐々に慣れていくでしょう。

嫌なことには必ず理由があるので、何が嫌なのかを見極めることも大切です。シャワーの音が怖い、水が嫌い、ドライヤーの風が苦手など、何が嫌で何を頑張れるのかはその子によって違います。

最初から一気にできなくてもOKです。「今日は爪切りだけ」や「シャンプーとカットの日を分けてみる」など、トリマーと相談しながら、その子のペースに合わせて焦らずゆっくり慣らしていきましょう!

 

最後に

ペットの身体を衛生的に保つためにトリミングは重要です。ずっと必要なことだからこそ、子犬のうちから少しずつ慣れてもらえると、ストレスが少なくトリミングが行えるようになります。成犬でも遅くはありませんので、ゆっくり慣らしてあげることが大切です。

当院ではトリミングではなく、ケアとして爪切り・耳掃除・肛門腺絞り、ブラッシングだけでもご利用いただけます。ワクチンがまだ終わっていない子や、トリミングが苦手な子、人に触られるのに少しずつ慣らしてあげたい子などはぜひご利用ください。

トリミングに関してご相談があればスタッフまでお気軽にお声掛けください。

この記事を書いた人

野地(トリマー)
丁寧なトリミングを心がけており、おかげさまでたくさんのご指名を頂いています。診察は苦手な子でもトリミングの時間は好きになれるような工夫をしていることで懐いてくれる子が多い。趣味は漫画読書で中でもスラムダンクがいち押し。一緒に暮らしているハムスターの「ハム吸い」をして日々癒されている。