シャンプー剤ってたくさんあるけど、犬や猫には何を使えばいいの?
そもそもシャンプー剤ってなんだろう?
シャンプー剤の大部分は水と界面活性剤からできており、その他、保湿剤、薬剤、防腐剤、色素、香料などが含まれます。そのため、シャンプーの特性を決めるのはおもに界面活性剤といえます。
界面活性剤にはいくつかの種類があり、洗浄力、刺激性、起泡力(泡立ち)などの特性を有し、原材料によって高級アルコール系、石鹸系、アミノ酸系に大別されます。
<主な成分>
高級アルコール系:ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸アンモニウム
石鹸系:オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウムなど
アミノ酸系:ココイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム、ラウロイルアスパラギン酸ナトリウムなど
<界面活性剤ってなに?>
通常、水は水同士、油は油同士でまとまってしまうため、水と油は混ざり合うことはありません。
界面活性剤は水になじみやすい部分と、油になじみやすい部分を持っています。界面活性剤が水と油の間で仲介役となることで均一に混ざり合うことができ、これを乳化作用と呼びます。
乳化力は洗浄において重要で、水では簡単に落ちない皮脂を界面活性剤の働きで皮膚から浮かせて水で流すことができます。
その他に、汚れを水の中に散らばせる分散作用、空気と水を混ぜる起泡作用、皮膚や毛を水になじみやすくする浸透作用があり、これらも洗浄の際に重要になります。
<クレンジング剤>
クレンジング剤によく使われているのはクレンジングオイルです。クレンジングオイルに含まれる油が汚れや皮脂を吸着して、さらに水と接触した際の界面活性剤の働きで汚れや皮脂が乳化・分解され、シャンプーだけでは落としきれない汚れや皮脂をしっかり落とすことができます。
クレンジング剤は皮膚に残留するため、単独で使われることは少なく、ダブル洗浄(クレンジング→シャンプー)で使われることがほとんどです。
一方で、洗浄回数が増えることや脱脂が強くなりすぎることもあるため注意が必要です。
<保湿剤>
皮膚は水分を保つことで、乾燥した外環境に対応しています。
保湿は皮膚の水分保持能力を助けるうえで重要で、洗浄で失われた成分を補う目的でも使用されます。保湿が期待できる成分には、保湿剤と閉塞剤があります。保湿剤は成分そのものに水分を保つ作用があり、閉塞剤は皮膚の表面を覆って皮膚からの水分の蒸散を防ぐことで、保湿効果を発揮します。
・保湿剤→セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲン、グリセリンなど
・閉塞剤→ワセリン、スクワラン、馬油など
~当院にあるシャンプー剤紹介~
シャンプーには大きく2種類あり、美容を目的としているシャンプーと、治療を目的としている薬用シャンプーがあります。
<美容目的>
当院のトリミングで使用しているシャンプーは2種類あります。
①全犬猫用シャンプー
・シルクプロテインとライスプロテイン配合。
・保湿、補修、保護のトリプルアクション成分により、すばやく浸透して美しい被毛を保つ。
・余分な皮脂や汚れを落としながら、栄養補給と水分補給をしてくれる。
・オーガニック成分配合、パラベンフリー・合成着色料フリー。
②プレミアムシャンプー(犬用)
・被毛と皮膚に優しい弱酸性のアミノ酸系シャンプー。
・プロの美容師も使う特殊PPT成分(マリンコラーゲン)配合。
・天然植物エキスによる紫外線防止効果とキューティクル引き締め効果。
・ヒートプロテインにより紫外線、ブラッシング、ドライヤー熱の3第ダメージから被毛を守る。
<治療目的>
当院で扱っている薬用シャンプーは大きく分けて『抗菌』『抗真菌』『抗脂漏・角質溶解』『保湿』の4つに分類されます。
『抗菌/抗真菌シャンプー』
細菌や真菌の増殖抑制を目的とした抗菌・抗真菌成分が配合されたシャンプーです。膿皮症、マラセチア性皮膚炎、皮膚糸状菌症などに適応となります。
抗菌成分として、クロルへキシジン、乳酸エチル、ポピドンヨードなど
抗真菌成分としてミコナゾール、ケトコナゾール、クロルへキシジン、ピロクトンオラミンなどがあげられます。
『抗脂漏・角質溶解シャンプー』
余分な皮脂を落とし、角質軟化させ角質調整をおこなう目的のシャンプーです。
角化異常症(脂漏症、脂腺炎など)が適応となります。
抗脂漏・角質溶解成分として二硫化セレン、硫黄、サリチル酸などがあげられます。
『保湿シャンプー』
皮膚の水和とその維持を目的とした保湿成分が配合されたシャンプーです。
犬アトピー性皮膚炎などの皮膚の乾燥が主症状である疾患や、皮膚トラブルが頻発する症例に適応になります。
保湿成分としてセラミド関連物質、乳酸ナトリウム、尿素、プロピレングリコール、グリセリンなどがあげられます。
*薬用シャンプーを使用するときに注意すること
薬用シャンプーは獣医師の指導のもとに、家庭やトリミングサロンで実施されるのが一般的です。
薬用シャンプーを使用するときの注意点は、使用時に皮膚に症状がある場合、シャンプー剤の刺激性に配慮しなくてはいけません。また、薬用シャンプーの成分や効果が発揮できるように準備する必要があります。
シャンプーの大きな目的は皮膚の汚れを除去することにありますが、薬用シャンプーは汚れを落とすことに特化していない場合があります。
そのため皮膚の汚れをしっかり落とすためには、洗浄用のシャンプーを使い、その後、薬用シャンプーを使用するといったシャンプーの組み合わせが重要になります。
また、皮膚の症状が改善してきたら、その皮膚の状態に応じたシャンプーを使用します。再度、シャンプー剤を選択したり、シャンプーの頻度を変えたりする必要がありますので、獣医師にご相談ください。
*お家でシャンプーするときに気をつけること
まずシャンプーを始める前に…
毛が長い子はブラッシングをして、毛玉やもつれを取り除きましょう。毛玉やもつれが残っていると、シャンプー剤がしっかり皮膚まで届かず、すすぎ残しの原因になってしまいます。
*シャンプーするときに気をつけること
1.お湯の温度は35℃前後のぬるま湯を使います。
2.シャンプー剤はメレンゲ状になるまで泡立ててから使います。原液をそのまま使ってしまうと、泡立てて使うときと比べて皮膚への刺激性が強くなってしまいます。
3.シャンプーするときも、ゴシゴシ擦ってしまうと刺激になってしまうので、優しくマッサージするようなイメージで洗ってあげましょう。
4.シャンプー剤のすすぎ残しはNG!泡がなくなるまでしっかり流しましょう。
詳しいシャンプーの方法(コチラよりダウンロードも可能です)は病院でお渡ししています。
ご希望の方は病院スタッフまでお声掛けください。