犬もドライアイになる!気づかないうちに重症化していることも。一度眼科へ!
ドライアイ、いわゆる眼の表面が乾いてしまうことです。人であれば多少の眼の乾きを感じても瞬きをしたり、一時的な涙が出ることにより解消されることが多いと思います。
しかし、犬のドライアイは眼の表面が乾いていることに気づかれず、重症化することもあり、とても危険です。
ではドライアイとは一体どのようなもので。どのようにケアをしていけば良いのか一緒に勉強しましょう。
ドライアイとは
犬のドライアイの正式名称は乾性角結膜炎(K C S)と呼ばれ、涙の質が悪くなったり、涙の量が減ってしまうことにより眼の表面の角膜に障害をもたらす病気です。
障害が出た眼は分泌物が多くなり、結膜や角膜に炎症を引き起こし、傷がつきやすい状況になります。重度になると、角膜に色素沈着(黒いシミのようなもの)が生じ、視覚障害をもたらしますので日常生活に支障が出てくることもあります。
原因は多岐にわたり、多くが不明とされていますが、その中でも多い原因は免疫介在性(免疫の異常)とされています。
眼瞼と眼の構造
まぶたと呼ばれる眼瞼は眼を覆うことのできる唯一の構造物であり、眼瞼が開閉し瞬きをすることにより角膜に潤いを保持させる助けになっています。
また、眼瞼は眼を外的刺激から守る役割を担うことで角膜に傷が付くことを防いでいます。さらに、眼瞼には眼に潤いを与える組織が存在し、この組織がドライアイと深く関係しています。
涙の役割と必要性、涙はどのように産生されるのか?
涙は角膜に潤いを与える水分としての役割だけではなく、角膜への感染を防ぐ、酸素や栄養を供給するといったとても重要な役割を担っています。
通常角膜には血管が存在しないため栄養供給は血管からは行えません。そのため涙が栄養供給を行って角膜の健康状態を良好に保っています。
涙は3層からなり、角膜側から粘液層、水層、油層と分かれています。
最外層の油層はマイボーム腺より分泌される油成分を主体としており、水層は涙の主成分であり、涙腺および第3眼瞼腺より分泌されます。最内層の粘液層は結膜や角膜の細胞から分泌されるムチンを多く含み、角膜と強く密着します。ムチンは涙に含まれる重要な成分であり、優れた保水力を持ちます。
中央の水層を油層と粘液層で挟み込むことによって水分を角膜に保持し、水分蒸散を防ぐことにより、眼の潤いを保つことができています。
これらのことにより、瞬きに伴うまぶたと角膜との摩擦を軽減することができています。
しかし、ドライアイの場合ですと角膜の潤いが乏しいため瞬きによる摩擦が生じ、傷がつきやすい状況となります。
涙は血液より作られますが産生部位は眼瞼にある涙腺および第3眼瞼腺です。
これらで作られた涙は角膜に潤いをもたらしたのち、眼瞼の内側にある涙点という小さな穴を通り、涙小管、鼻涙管といった細い管を通り鼻の奥へ流れ出ます。
症状
人の場合ですと眼が乾きやすい、眼がゴロゴロするなどの不快感を言葉で表しそれに対して対処することが可能です。しかし犬の場合では症状が出ていてもうまく表現ができず、いつの間にか重症化しているケースもあります。
初期の症状ですと、目をこする、粘稠性の高い目脂が出ている、眼をしょぼしょぼするなどの症状があります。
重症化してくると結膜や角膜に炎症が生じ、結膜の充血や角膜への血管の侵入(血管新生)・色素沈着などを起こします。目脂もより粘稠性を増し、黄色や黄緑色といった目脂が見られるようになります。継続的に眼をしょぼしょぼする仕草がある場合には角膜が傷付いている(角膜潰瘍)可能性や感染症が合併している場合もあるため注意が必要です。
重症化により失明する場合もありますので眼の様子がおかしい場合には早めに受診しましょう。