犬や猫の目薬の差し方のコツを解説します!
[点眼薬を処方されたら]
犬や猫が目に怪我をしたり、目の病気にかかると動物病院で目薬を処方されることがありますよね。早く症状を改善するためにも、目薬をしっかり差してあげたいのに愛犬・愛猫が嫌がってしまうことはありませんか?
また嫌がられてしまうことによって、ご家族も点眼することに対して、苦手意識が芽生えてしまうことがあるのではないでしょうか。
そこで、今回は上手な目薬の差し方や注意点、複数目薬を差さなければいけない場合などについて詳しくご紹介していきます。
[点眼の方法]
結膜炎や角膜炎などの目の炎症や、白内障や緑内障などの目の病気などで点眼を必要とする場面は多々あります。
普段、どのような方法で目薬を差していますでしょうか?鼻先をつかんだり、目薬を正面から近づけたり、無理やり身体を押さえつけたりしていませんか?
犬や猫にとって目薬のボトルは得体のしれないものです。それを顔に近づけられて、目に液体を入れられるとなると怖い思いをするのは当然ですよね。人もよく分からないものが目前に迫ってくれば抵抗するはずです。
では、どのように目薬を差したら犬・猫の負担を和らげることが出来るのでしょうか?一緒にポイントを見ていきましょう。
まず、目薬を差す前準備として雑菌が入らないよう手をしっかり洗いましょう。
また、犬・猫の眼の周りをきれいにしてください。目やにはコットンなどで優しくふき取りましょう。準備が出来たら、次の1~6のステップを実施します。
1.背中を向けておすわりさせる
犬・猫の背中がご家族のいる側になるように、同じ方向を向かせるのがポイントです。
床だと動いてしまって差しづらい場合は、膝の上に抱きかかえるのも有効です。また手伝ってくれる方がいる場合は、少し高い机の上などで実施するのもいいでしょう。
2.おやつを使いながら行う
目薬を嫌がるのは『点眼=嫌なこと』と記憶しているためです。嫌なものではなく『点眼=いいこと』と覚えてもらうために、大好きなおやつを使うと効果的です。
目薬を差す際におやつをあげて気をそらしたり、また終了後のご褒美としておやつを与えましょう。『点眼=いいこと』になるように根気よく続けてみてください。
3.真正面からではなく、後ろから目薬を差す
真正面から気合を入れて目薬を差そうとすると、怖がらせてしまいます。目薬を差す場合は、直前まで勘付かれないように、手のひらで目薬のボトルを隠すように持ちましょう。1で述べた通り犬・猫の目線に目薬が入らないように近づけましょう。
4.顔を固定し、薬指や小指の側面全体で上まぶたを引き上げる
目薬を差す際、目薬を持たない方の手で顎を持って顔を固定しましょう。固定しつつゆっくり顎を少し上に向けます。喉を絞めないよう顎の骨を持つのがコツです。
目薬を持つ手は、犬・猫の頭の上に置いて支点を作り、目薬を差す手がぶれないように固定します。薬指や小指の側面全体を上まぶたにあて、優しくそっと引き上げるようにします。
5.目薬を1滴滴下し、しばらく上を向いた状態を維持する
目薬を差す際、ボトルの先にまつ毛や眼球が直接触れないようにご注意ください。また、ボトルから点眼液が雫となって落ちる前に目に触れてしまうと、液体を介してボトル内に雑菌が入り込んでしまいます。ボトルの先と目の距離を十分に離して実施しましょう。
雑菌が付かないようキャップも清潔に置き、動物から距離を離しておきましょう。
眼に入る容量は決まっているので、目薬は1滴で十分です。多く入れても溢れてしまうので、何滴も入れないようにしてください。
眼の周囲に付着した目薬は、コットンなどで優しくふき取りましょう。また可能であれば、目薬を差した後は上を向いた状態を維持できると良いでしょう。
眼軟膏を使用する際は、瞼の縁につけるようにし、優しく上下の瞼をくっつけたり離したりして眼の表面に広げます。チューブの先端に瞼や目が触れないよう注意してください。チューブからつけるのが難しければ、清潔にした指先につけて瞼の縁に優しくのせてください。
6.終わったら褒める
目薬が差せたらたくさん褒めてあげてください。ご褒美で特別なおやつをあげたり、目薬後のルーティンとしておもちゃで遊んであげたりするのも良いでしょう。
ご家族も犬・猫もお互いにストレスが少なく目薬を差せるように、上記のステップを試してみてください。
[失敗したらどうする?]
目薬が目に入らないことも多々あるかと思います。慌ててしまうと緊張感が伝わり、落ち着いていた犬・猫も緊張してしまいます。緊張から目薬が差しづらくなることもあるため、落ち着いてもう一度目薬を差しましょう。
また、目薬が眼の周囲に付着してしまった場合は、必ずコットンなどでふき取るようにしましょう。放置してしまうと痒くなったり、皮膚の炎症に繋がってしまうので注意が必要です。
何度試してみても目薬を差すのが難しい場合は、当院スタッフにご相談ください。
[目薬が2種類以上ある場合]
動物病院で目薬が複数処方されることがあります。
複数の目薬を差す場合は、5分程度間隔をあけるようにしましょう。一度に目の中に吸収できる目薬の量は限られており、間隔をあけないと最初に差した目薬が後に差した目薬によって目から外に流れ出てしまい、効果が薄れてしまうためです。
目薬の順番にも意味がありますので、必ず獣医師の指示を守るようにしましょう。
[点眼薬の保存方法・開封後の使用期限]
目薬の保管場所は、直射日光が当たらず、涼しい場所に保管するようにしましょう。実はほとんどの目薬は、室温で保存しても問題ありません。
室温とは、通常1℃~30℃を示します。夏の暑い時期や、炎天下の車内、直射日光が当たらないように気を付ければ、室温での保管が可能です。しかし、目薬によっては冷蔵庫で保管するものや光が当たらないように保管するよう指示がある場合もありますので、注意して保管してください。
処方する際に目薬を入れてある専用の袋に入れて保管しておくことも重要です。光によって化学反応が起こり、品質が変わってしまう可能性があるものがあります。そのような目薬の袋は「遮光」になっており、光を遮るように作られています。
また、「温度指定」や「冷所保存」の指示があるものもあり、「冷所保存」の場合15℃以下で保管する必要があります。「温度指定」の目薬は、開封前は室温で保存し、開封後は冷蔵庫で保存する、逆もまた然りで保存方法が変わる場合がありますので、目薬の処方の際にはスタッフよりご説明をさせていただいております。
目薬の開封後の使用期限ですが、1か月を目安に使い切りましょう。それ以上経過したものは清潔さを保つことが難しいため、衛生上1か月を経過したものは使用を中止してください。また、使用時には手を洗うことや、キャップを清潔な場所に置くなど、清潔をできる限り保つように心がけましょう。
目薬の種類によっては開封後1日や1週間程度で破棄をする必要があるものもありますので、処方された際に確認し、使用期限を守るようにしてください。
目薬の差し方についてご紹介してきましたが、お悩みは解決できましたでしょうか。
目薬を使用する治療には、ご家族の協力が必要不可欠です。しっかりと治療するためにも、少しずつ練習をして、目薬の時間が楽しくなるようにしましょう。
ご来院の際に実際に実演することもできますので、お気軽にお声がけください。