鼻ぺちゃわんちゃんのブーブー・ゼーゼーって大丈夫?短頭種気道症候群って知ってますか??
短頭種気道症候群とは?
短頭種とはマズルの短い犬種のことです。
ブルドッグ、フレンチブルドッグ、パグ、チワワなどの犬種を言います。
少し歩いたり興奮したりするとブーブーいったりゼーゼーいったりとしんどそうな呼吸をします。これは、他の犬種に比べて鼻や喉の気道が生まれつき狭く、マズルが短いためにいろいろな構造が凝縮されて気道に圧力がかかりやすくなっていることが原因です。
特に軟骨形成不全によって鼻・鼻咽頭・気管といった上部気道に異常が発生する病態を短頭種気道症候群といいます。
具体的には、軟口蓋の過長(85~100%)、咽頭小嚢の外反(46~100%)、外鼻孔の狭窄(43~100%)、咽頭虚脱(8.1~80%)、扁桃の腫大(56~70%)、気管低形成(39%)が挙げられます。
短頭種気道症候群の症状
安静時にもブーブー鳴ったり、喉の奥からヒューヒュー鳴ったりする音が聞こえます。短頭種気道症候群になってしまう子は若い時から発症することが多いです。
いびきやあひるの鳴き声のような喘鳴音がどんどんひどくなって重症化してくると、口を開けた速い呼吸のパンティングが止められなくなり体温の異常上昇や呼吸困難や失神、さらに息を強く吸うことで二次的に胸がつぶれたり(陰圧性漏斗胸)、不整脈や気管虚脱(気管がぺちゃんこになり呼吸ができない)や陰圧性肺水腫(肺に水がたまる)になり死に至ります。
なんで短頭種気道症候群になるの?
人間によって選択的に繁殖されて生み出され、ほかの犬種よりもマズルが極端に短く、頭蓋骨は丸くて目は離れているという見た目が非常に特徴的です。
頭から鼻先にかけての骨が短くなっているにもかかわらず覆っている筋肉や皮下組織などが長いままになり緩んだり垂れ下ったりすることで狭窄や虚脱が起きやすいのです。
短頭種気道症候群の予防と診断と治療
生まれつきの解剖学的特徴が原因であり、予防法はありません。外貌の状況やレントゲン検査によって診断しますが、診断のために内視鏡検査をすることもあります。いずれ悪化する可能性が十分にあるため、重症化する前に対処することがお勧めします。
症状が軽度であれば体重管理や環境の管理によって肥満や興奮を抑えることで症状が軽減されることもあります。鎮静薬を使って興奮を抑えたり、腫れあがった喉頭の炎症を抑える目的で消炎剤を使うこともありますが内服薬や吸入薬、注射での治療には限界があります。
二次的な病態に悪化する前に早期の外科手術が推奨されます。鼻の穴を大きくする外鼻孔拡大術、長い軟口蓋を短くする軟口蓋切除術、気道の圧迫を解消するための扁桃切除や喉頭嚢切除、披裂軟骨側方化術などが外科的治療になります。
それでも呼吸が苦しくて危ない状態になる症例では、一時気管切開や永久気管切開が行われることもあります。
最後に…
外科手術によって改善しても再発する可能性はゼロではありません。成長や肥満などで期間が再度圧迫されたり、ほかの部位で異常が出てくることもあります。
短頭種と一緒に暮らしている飼い主さんは、ワンちゃんの鼻の穴や呼吸状態を今一度しっかり確認してあげましょう。