短頭種気道症候群
2024年7月20日
当院で実施した外科症例について紹介します。
今回は短頭種気道症候群の予防として外科手術を行った症例です。
※術中写真が表示されますので苦手な方はご注意ください。
プロフィール
犬 パグ 雌 6か月
来院理由
避妊手術と一緒に鼻孔拡大および軟口蓋切除希望
既往歴
なし
検査
身体検査上で外鼻孔狭窄軽度-中程度
診断
短頭種気道症候群
外科手術
軟口蓋切除術
・軟口蓋位置を確認
・軟口蓋の過長部分を鉗子で引っ張り、外科手術用エネルギーデバイスを用いて切除
・切除端を縫合
外鼻孔拡大
・メスでくさび型に尾翼を切除
・切除した部分を縫合
手術後の経過
たまに咳はあったが、呼吸安定
短頭種気道症候群について
短頭種気道症候群は、主にブルドッグやフレンチブルドッグ、ボストンテリアなどの短頭種において、上部気道(軟口蓋過長、外鼻孔狭窄、喉頭虚脱、咽頭虚脱)や気管・気管支(気管低形成、気管虚脱)などの気道に異常が発生する病態をいいます。
気道が狭いとそれだけ気道にかかる負担も大きくなり、さらに気道が狭くなるという悪循環に陥ります。
つまり、短頭種気道症候群は進行していく病気なので、症状が軽度(若齢)のうちに予防的に手術を行うことが推奨されます。手術で完治することはできないですが、進行を遅らせることが期待できます。
短頭種気道症候群について詳しくはコチラもあわせてご参照ください。
重度になると呼吸困難や肺水腫など命に関わることもあるため、短頭種気道症候群のリスクがある犬種を飼育する場合、若齢時に去勢や避妊と一緒に手術することを検討していただいています。
また、普段の生活でも肥満や高温多湿の環境は、悪化のリスクが高いため体重および環境の管理にも気をつけましょう。
この記事を書いた人
海野(獣医師)
一人一人に寄り添った診療ができるようご家族様の話に耳を傾け、お気持ちを汲み取れるように心がけています。外科、救急医療分野の技術向上のため多くのセミナーを受講し、腕を磨いている。趣味はバイオリンと映画鑑賞。アクションやSFが好きでスターウォーズのダースモール推し。